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大仏さんの「株やぶにらみ」
儲けるにはまず情報分析!。こってり濃厚に市場を分析中。
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法案否決に、国際政治力学が働いていなかったか…?
 いやはや、今日は精神的に参りましたね。あれだけ譲歩していましたから、すんなり議会を通過すると思っていましたが、どこかの国の議員さんと同じで、造反議員が続出して結局否決。影響は全世界に及び始めました。ポールソンやバーナンキの気持ちとしては「どうにでもなれ…」とでも、言いたい心境でしょう。でも、大恐慌突入当時の金融政策責任者として、歴史に汚名は残したくない…。なんとか、内容を変えて、再チャレンジするんでしょう。それよりも、法案に反対票を投じた議員さんたちは今頃あまりの影響の大きさに震え上がっているかもしれませんね。

 ちょっと、前口上が長くなりました。月末30日の日経平均は483円75銭安の1万1259円26銭、TOPIXは40.46ポイント安の1087.41と、ともに大幅続落して終わりました。日経平均サイコロは5勝7敗、騰落レシオは73、RSIは28、25日線かい離はマイナス8%になりました。市場のムードがパニック的になった割には商いは盛り上がらず、出来高概算は22億6000万株、売買代金は2兆3000億円でした。指数的には、RSIがもうちょいのところ、25日線かい離は買いゾーンに入ってきました。

★足元から裏切られたブッシュ大統領
 それにしても、議員さんは良くやってくれます。賛成205、反対228というないようでしたが、各党の投票内容をみると、民主党は賛成140、反対95。一方、ブッシュ大統領の政権基盤党である共和党は賛成65に対し、反対133…。マスコミの解説では、税金投入に反対する選挙民を意識して、反対票を投ぜざるをえなかった…と言いますが、政府の介入を嫌う市場原理主義者も多く、信念から反対した議員も多かったのではないでしょうか。

 これまでにも何度か書きましたが、証券化業務を拡大しつつあった投資銀行の意向を受けて、相対取引への金融当局の監視を出来ないようにし、CDSやサブプライムローン関連商品を野放図に拡大させたのも、米国南部の共和党議員といいます。まさに、今回の危機の原因を作ったのですが、ちゃっかりと欧州系投資銀行の役員に座って高収入を得ているといいますから、どうしようもありません。なんでもカネで解決する国ですから、本来なら戦犯になってもおかしくないところですが、そうならないのがアメリカ…。どうしようもない国です。

★イスラエルとの間に何らかの政治的な駆け引きがあるのでは…?
 おまけに、10月2日までさっさと休会してしまいましたが、理由がユダヤ教の祭日のため…といいます。休会するくらいですから、かなり多くの議員がいるのでしょうが、ユダヤ教といえば、イスラエル…。イランに対する強硬姿勢が続いていますが、今回の反対票と、イスラエルのイラン政策との間に何らかの因果関係は無かったのでしょうね。「法案に賛成する代わりに、イランをやるときは頼むぜ…」てなもんでしょうか。本来、なるものがならなかった…裏に政治力学が介在していなければ良いんですが…、ちょっと心配です。

★ドルが米国に還流し、世界の金融は急速にしぼんでいる
 しかし、7000億ドルのお金をケチって、株価の下落で1兆5000億ドルの時価総額が減少した…どう考えても、計算の合わない笑い話みたいな出来事です。ただ、世界市場への影響はあまりに大きすぎました。欧州、ロシアなど、世界各国で金融機関が経営危機を迎えています。銀行が資金調達に株券を使っていたロシアへの影響はかなりきついようです。外資が堰を切って流出しはじめたため、世界3位といった外貨準備高はあっという間に減少し始めました。韓国の通貨危機もウォンの新安値入りで、さらに危機の度合いを高めています。はやく、米国の金融を安定させて、ドルの循環が効くようにしないと、世界の金融は窒息してしまいます。すでに、その兆候が出始めています。世界の中央銀行が必死になって、ドルを供給していますが、取り込んだ金融機関は相手が信用できないから貸し出しをせずに、手元にためる…結局、ドルが循環しないためにますますドル不足が深化する、という悪循環になっています。

★これからの危機に際し、EUの真価が試される
 今日のニュース解説で、ドルが下落しているなどという寝ぼけた解説をする女性がいましたが、ドルが弱いには円に対してだけ、他の通貨に対してドルは急騰していることがわかっていないようです。結局、梃子の原理で借り入れで数倍~数十倍に膨らませた世界にばら撒かれた資金が、梃子を失って急速にしぼみ、米国へ向かって還流しているわけです。一説には、今世界中で不足しているドルの量は1000兆円規模はあるといますから、これを満たすのは大変なことです。このところ、欧州の金融に対して警戒するように書いてきましたが、まさに、ドルが形を変えてユーロに流れ込みましたから、これが逆流すればユーロが売られて急落するのも当たり前…。さらに、ドル不足が金融機関の経営に影響し、資本不足に陥るケースも増えてきます。だから、これから怖いのは欧州です。

★危機の一巡後はドルの崩落も…
 これまでの対応をみても、各構成国単位で救済に動いていますが、EUという組織を生かして救済する手法はとられていません。まとまっているようでも、結局、国単位の組織だったんだな~というのが正直な印象です。多分、これを機に、EUに対する見方も大きく変化してくるのではないでしょうか。それと、次に心配なのは、急速に還流したあとのドルです。金融安定化法案が何らかの形でまとまれば、財政負担が増加し、ファンダメンタルが急速に悪化していきます。結果、今度はドルが売られるということになり、本格的なドルの崩落が始まるかもしれません。

★当面は米国の動きを見守るしか無い…
 まさに、世界の経済は、大波の間を揺れ動く小船のような状態になってきました。米国の金融安定化法案は、修正を加え、再度審議されることになるのでしょうが、今より、後退したものになれば、市場が受け付けてくれず、再度売られることにもなりかねません。もしかしたら、米国は、法案の否決で大きなチャンスを逃したのかも知れません。とにかく、ここは米国の動きを見守るところ。

 日本株については、以前から1万1000円どころは日本経済が変化したポイントなので、そこから下には大きく崩れることはない、としてきました。いまでも、その考えを変えるつもりはありません。ただ、今日で月足が完成しましたが、大底圏で形成した逆三角持合の肩を結ぶ需要な抵抗ラインをきってしまいました。ここから、上値抵抗ラインに変わりますので、上値はますます重くなります。主力株の戻りの高値は思ったほど出ないかもしれません。ちょっと相場観の組み立て直しが迫られそうです。
 とにかく、ここからは米国次第…。人間の「理性」を信じたいものです。



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プロフィール

大仏さん

Author:大仏さん

国立大学卒業後、大手証券会社に入社。
その後、投資顧問会社に転出。調査・分析部に所属し、上場企業調査、マクロ経済分析、株式レポート作成などのかたわら、株式講演会講師、地方ラジオ局株式番組コメンテーターなど。地方経済紙、スポーツ紙などに株式記事執筆。地方新聞投資相談コーナー担当。
その後、関西地方新聞に移籍し、政治経済部記者として地方経済の活性化に注力。




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